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PTSD(心的外傷後ストレス障害)について

症例1 )

「阪神・淡路大震災の時の恐ろしさは、今まで生きてきた63年間の中でも最も恐ろしい体験でした。『ドーン』という音とともに、下から突き上げられたかと思うと、『ガタガタ』という激しい横揺れが、いつ終わるともなく続き、私は震えながら、布団をかぶっていました。

幸い家も家族にも全く被害もなく、また、職場も異常はありませんでした。震災の翌日から出勤し、いつもと同じように仕事を続けていましたが、震災から約3カ月位たった4月初旬頃より、震災の夢をみるようになり、朝起きる頃になると、死ぬかと思うぐらい、息苦しくなり、脈が早くなる様になりました。」------64歳、男性

症例2 )

「私がレープの被害にあったのは、丁度、26才の時でした。その後、長い間、私は不思議なくらい、その忌まわしい出来事を、まるで他人ごとの様に冷静に話す事が出来ました。
何年か後、突然、フラッシュバックが私を襲い始めました。レープされた時の、恐ろしい記憶がよみがえり、それが、現実のものとして感じる様になったのです。私は、朝から晩までいてもたってもおられなくなりました。喉は渇き、息苦しく感じられ、分けが分からなくなり、絶望的な不安感と恐怖が、常に私をおそって来るのです。

レープは丁度、クリスマスの一週間前に起こりました。今でも、その頃になると、同じ様な症状に悩まされています。」------30歳、女性

心的外傷後ストレス障害(PTSD,Post Traumatic Stress Disorder)は、並外れた恐怖的な出来事(大震災、サリン事件、レープ、交通事故、etc)のあとに見られる事のある心の障害です。

何が原因であれ、フラッユ・バック、悪夢、なまなましい記憶、などが見られる場合があります。 また、その出来事に似た状況に曝されたときに体験する苦痛によって、その時の記憶がひつこくよみがえったり、「再体験」したりする事もあります。その為に、出来るだけ、その出来事に関係する状況を回避しようとしたりする方もおられますし、逆に、その出来事をはっきり覚えていないという方もおられます。

その他に、以下の様な症状が見られる場合があります。

  • 入眠困難や睡眠困難
  • よく欝状態
  • 焦燥感、イライラ、や怒りの爆発
  • 集中困難
  • 過度の驚愕反応(ex.大きな音がすると過剰に反応してしまう)

PTSDになられた方は特に、その事件が起こった時期になると症状が悪化する場合もあります。
PTSDは子供を含めて、どの年代にでも見られます。また、この障害は、うつ病、アルコール依存症,不安障害等をともなう事もあります。重症になりますと、仕事や社会生活にも多大な障害がでてきます。一般的に、症状は、レープなどの人的な被害にあった方のほうが、重症になりやすく、震災のような、自然災害にあわれた方のほうが比較的軽症ですむと言われています。
誰もが、同じ体験をしても、PTSDになるというものではありません。PTSDと診断される為には、症状が1カ月以上持続していなければなりません。
症状は、通常、恐怖的な出来事の6カ月以内、特に3カ月以内におこる事が多いいのですが、何年もたって症状を認める方もおられます。
治療は症状に応じて、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬などの投与や、カウンセリングのほか、認知行動療法等の精神療法が用いられる事があります。
どの精神的な病気でも同じですが、御家族や御友人の方々の病気や本人の悩みに対する理解が回復を早める大切な要素となります。

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