年始ご挨拶 理事長・院長 太田 正幸 |
昨年は、100年に一度という大不況や新型インフルエンザの世界的流行等、暗い話題の多かった年でした。そんな中でも、明るい話題を1~2ご紹介したいと思います。
まず、アルツハイマー病を予防するお薬が2~3年後には発売になるかもしれないということです。NHKの2009年2月1日に放映された、「サイエンスゼロ」という番組によりますと、アルツハイマー病は脳内に「アミロイドβ」というたんぱく質がたまり過ぎて発症するということが、長く知られていたんですが、理化学研究所は、脳内でアミロイドβを分解する酵素「ネプリライシン」を発見しました。この酵素が加齢とともに減少することが、アルツハイマー病の発症につながると考えられています。最近の研究で、体内のあるホルモンや手軽な運動によって、このネプリライシンの量を増やせることが突き止められ、アルツハイマー病の予防が可能になると期待されています。さらに、DNAワクチンという新たな技術で体内の免疫の仕組みを活性化させ、アミロイドβを攻撃するという画期的な方法も開発され、いま臨床試験の準備が始まっており、2~3年後にはアルツハイマー病の予防や治療が可能になると思われます。
もう一つは、子宮頸癌のワクチンの発売です。グラクソ・スミス・クラインという、新型インフルエンザのワクチンを開発した製薬メーカーが今年早期に発売するものです。発がん性のヒトパピローマウイルス(HPV)感染が子宮頸癌の発症に深く関与していることが、臨床的観察や分子生物学的研究から明らかにされています。これに対するワクチンで、10代の女性への接種が推奨されていますが、いくつになられても、子宮頸癌の予防になると思います。
このように、医学の発展は目覚しいものがあり、我々の病院もますます研鑚をつみ、患者様や利用者様およびご家族様のために、精進してまいります。