統合失調症という病気について6 医師 山本 康二 |
前回はコーヒーブレイクでした。前々回は統合失調症について、精神療法や信頼関係について話をさせていただきました。
第6回は、病気とどう向き合っていけるかについて書かせて頂きます。
5.治療のその他
前々回は、精神療法や患者さんと医療従事者との信頼関係について書かせて頂きました。病気が治まってきても患者さんには不安や焦りが出てくること、それらの気持ちを一人で持たず周囲の人々に相談すること、などが大事だと考えています。
例えば、病気になって病院を受診したが症状がきつく入院して治療を受けた。症状は治まり退院したが外出が苦手になり、将来の不安もありどうしていいか分からなくなり困っている。また、通院も何故しないといけないのか?何故薬を飲み続けないといけないのか?と疑問を持っている。こういった疑問を持っている患者さんも多く、自宅にこもり、通院もやめてしまうことが多くみられるようになります。
では、どのように対処していくのがよいのでしょうか?
ご自分の症状をどう考えるか?
多くの場合、患者さんが感じている症状は苦痛を伴うものであり、できれば取り除きたいと患者さん自身も思っています。しかし、薬を飲んで治すことは自分が病気であることを認めることになり嫌だ。と考える方も多いようです。
この場合、ご自分の症状によって苦しんでおり、その症状を軽くする方法があるとすれば、それを利用しないのは損なことです。また、症状をそのままにしておけばより苦しくなり、入院の必要も出てきます。
そして、最も重要なことは、このように何度も症状が悪くなればより治りにくくなることです。
最近の治療の考え方では、薬物療法でもそうですが、コンプライアンスからアドヒアランスへと変わってきています。コンプライアンスとは、“医師が決定したことを言われたとおりに従う”という意味合いでしたが、最近ではアドヒアランスつまり“患者さんが積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に沿って治療を実施、継続すること”が必要だと考えられるようになってきました。
ご自分の症状、治療に関して積極的に参加していただき、より納得して治療を受けることでより効果が出ますし、ご自分のご病気に対しての理解につながるのだと考えられています。
次回は、退院後のサポート体制についてです。