うつ病は全年齢において発病する可能性のある病気で、最近のストレス社会を反映して大変増加をしているものです。しかし、抗うつ薬、抗不安薬の服用や、カウンセリングなどで治りやすい病気です。すぐに精神科医に診察を受けさせるなど患者さんへの対応が大変重要です。
I)性格傾向
性格は仕事に熱心、凝り性、徹底性、正直、几帳面、強い責任感、などほぼ共通のものがります。
II)精神症状
鬱病にかかった人は抑うつ気分を訴えます。これは、不快感、憂鬱、空虚感、寂しさ、陰気、うっとうしいなどと表現されるものです。そのほかに、頭、胸などが重苦しく感じたり、「感情喪失感」といって全く感情の動きが感じられなくなる場合もあります。
表情や行動も不活発となり、考えもままとまりを欠く様になります。不安も増強し、イライラしたり、焦燥感も認めます。
うつ病になる方は本来真面目で責任感が強い為に、自分が病気だとは思わず、「自分は怠け者だ、自分が悪い」とおもいがちです。これを「うつ病性妄想」と呼んだりします。妄想とは実際にはありえな事を誤って確信する事です。
妄想には他に以下のものが見られる事があります。
■罪業妄想:些細なうそ等がうつ病になると悩みの種になる事もあります。また、他人の失敗や事故などを自分の責任と感じてしまう事もあります。
■虚無妄想:自分は実際には存在しない、とか、ここにいるのは仮の姿にすぎないと思ったりもします。
■心気妄想:身体健康が破壊され、「死んでしまう」と思ったり、軽い場合は腸が痛い、心臓の痛みを訴える、などの個々の臓器に現局される場合が多く見られます。
■貧困妄想:実際には金銭的に余裕があるにもかかわらず、自分は貧乏だと確信し、餓死する以外にないと思ったりする事があります。軽症の場合は「自分の仕事が出来ない」という考えになる場合が多いのです。
このようにうつ病の方は、責任を過度に感じるあまり、自殺を考える様になり、最後は自殺をしてしまう事さえあります。
III)身体症状
■睡眠障害
■食欲不振
■日内変動:ほぼ半数の方は朝から午前中にかけて症状が著しく悪く、午後から夕方にかけて症状が改善するものです。(この為、家族や友人達は「さぼっている」とみがちなのです。)
IV)患者さんへの対応
前述したように、患者さんは真面目で、もの事をうまく出来ない事を大変歯がゆく思われているのです。けっしてサボっている分けではありません。
ですから、絶対に患者さんを叱咤激励しないでください。励まさない様にして下さい。
そうされると患者さんは、よく分かっているだけに余計に自責の念にかられ、自殺する恐れが多分にあります。
悩みをよく聞いて理解してあげる事が最も大切です。
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