こだわり過ぎる仲間達
強迫性障害(強迫神経症)のページ
Obsessive-Compulsive Disorder
強迫性障害(強迫神経症)は、もの事にこだわり過ぎるという特徴がある精神科の病気です。
決して治らない病気でも、珍しい病気でも、恥ずかしい病気でもありません。
肝心なのは、病気になられたご本人も周囲の人々も、この強迫性障害について良く理解をする事です。
そして適切な治療を受ける事こそ最も大切な事なのです。
今、アメリカでは、50人に1人の人がこの障害をもっておられると言われております。
私も多くの強迫性障害の患者さんを診てきました。そして、ほとんどの患者さんが、この障害から解放されておられます。
もし、あなたも、この障害で悩んでおられる様なら、このページに是非参加してみてください。
このページに、多くの方々が参加してくださる事、そして全ての方々がこの障害から解放される事を心から念じてやみません。
強迫性障害とは?
強迫性障害(強迫神経症)の症状としては、強迫観念と強迫症状があげられます。ほとんどの場合両者が認められますが、強迫観念のみ、あるいは強迫症状のみの方もおられます。
この障害はアメリカでは50人に1人の割合で認められると言われています。
おおよそ10年前までは、非常に治療困難な病気でしたが、現在では、薬物療法をはじめ治療法の進歩でかなり治る様になって来ました。
強迫観念とは?(Obsessions)
嫌な思考、想い出、イメージ、衝動、または悲哀などが、何度も繰り返して感じられるもので、強い不安や嫌な思いを伴います。
(例)
などです。
強迫行為とは?(Compulsions)
強迫観念から生ずる不安や嫌な思いを払拭する為に行う一種の儀式の様なものです。
これは、非現実的なもので、通常何度も繰り返し見られます。
患者さんは、この儀式を行っている時は「なんでこんな事をしなければならないのか?」という疑問を持ちながら行っていますので、この儀式自体が大変苦痛なものとなるのですが、強迫観念からくる不安や嫌な思いは軽減されます。
(例)
などです。
強迫性障害の治療はどうするの?
強迫性障害の治療
強迫性障害の治療には薬物療法とカウンセリングがもっともよく使われる方法です。
薬物療法
強迫性障害の方は、脳内の神経ネットワークに使われる、神経伝達物質の一種である、セロトニンの作用が弱い事が分かっています。
そこで、脳内のセロトニンを増加させるお薬を服用する事が現在では、最優先で行われている事なのです。
抗強迫性障害薬
クロミプラミン(商品名:アナフラニール)
元来、うつ病の治療薬であるこのお薬は、1991年にアメリカで強迫性障害に有効であると認められました。
このお薬は、脳内の神経伝達物質のセロトニンのみならず、同じ神経伝達物質のカテコールアミンも増加させます。
強迫性障害には、即効性があります。
副作用としては、のどの渇き、便秘等々があげられます。
フルボキサミン(商品名:ルボックス(藤沢)、デプロメール(明治))
パラオキセチン(商品名:パキシル)
このお薬は、脳内の神経伝達物質のセロトニンのみを増加させるお薬で、選択性セロトニン取り込み阻害剤(SSRI:Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)と呼ばれています。
日本ではうつ病と強迫性障害に効果があると認定されており、比較的ゆっくりと効果を表すものです。
副作用としては、吐き気などがありますが、吐き気止めなどを服用すれば、最初の2週間程度で、
副作用は認められなくなるのが普通です。
抗不安薬
上記の抗強迫性障害薬に加えて、抗不安薬が用いられる事がほとんどです。このお薬は、その名の通り不安を押さえる作用をもっており、何れも、ベンゾジアゼピンと呼ばれるものです。
ここでは、一般名は省略し、商品名を数種記しておきますが、この他にも数多くの抗不安薬があります。
レキソタン、デパス、ワイパックス、セルシン、コンスタン、セパゾン、レスタス、リーゼ等々
副作用としては、めまい、ふらつき、眠気などで、お年寄りには注意を要します。
その他の薬物療法
抗強迫性障害薬に加えて、様々なお薬が症状に応じて使用される事があります。
これは、その医師の判断によります。
カウンセリング
支持的カウンセリング
最もよく用いられるもので、患者さんの話を共感しながら、よく聞くという事が基本です。
行動療法
この療法は、日本ではあまりなされていない様なのですが、大変有効であると言われています。
基本的に、患者さんに怖いものに直面してもらい(暴露)、症状を軽減させる療法です。
例えば、感染を恐れるあまり、ドアのノブや公衆電話の受話器、電車のつり皮などに触れるのをいやがり、日に40回も手を洗う患者さんがいるとします。
最初のセッションでは、さわれないものに極力さわる様に支持します。
そして、手を洗う回数を減らす様にも支持します。
患者さんは、最初、比較的、自分が安全だと思われるものにさわる様にするのが普通ですし、また回数も35回程度に減らすでしょう。
何にさわったか、何回洗ったかは、記録に残してもらい、次回のセッションの時に治療者に報告してもらいます。
治療者は頃合いを見計らいながら、もっと患者さんにとって汚いと思う物にさわるように、また、もっと手をあらう回数を減らす様に指示して行きます。
たまに、治療者は、普通の人以上に汚いものにさわる様に指示したり、手を洗う回数も普通以上に減らす様に指示する場合もありますが、これは治療に必要な為に行うものです。